【ご報告】〔雅楽 × 能楽〕雅楽と能狂言の魅力を楽しむ会(3月15日)
3月15日(金)夜、東京・渋谷区の東江寺本堂で雅楽と能楽(能・狂言)の魅力を知る会〔雅楽×能楽〕を開催しました。当日は50人限定で満席となりました。御本堂を使わせていただいた東江寺様、お客様、出演者の皆様、多くの方のお力添えに感謝申し上げます。
ゲストに雅楽の雑喉泰行さん(篳篥)、野津輝男さん(笙)、纐纈拓也さん(龍笛)、能の梅若紀佳さん、梅若泰志さんをお招きしました。
当日のパンフレットより
能楽には先行芸能である雅楽への憧れがあり、特に能には様々な形で雅楽の要素が取り入れられています。雅楽にも能楽にも独特の宇宙観や世界観があり、様々な角度からアプローチすることで奥深い世界が見えてきます。
今回は雅楽と能楽の繋がりという視点から、雅楽の名曲〈春鶯囀〉〈越殿楽〉を演奏し、能の〈難波〉〈梅枝〉の仕舞を実演しました。
仕舞〈難波〉
芸能に携わるうえで大切にしていることなどもお話しいただきました。
体験では能〈難波〉の謡を謡ったり、雅楽〈越殿楽〉の唱歌を歌ってみたりもしました。
雅楽と能楽を間近に鑑賞し、体験することで、ふたつの芸能が身近になり、特質も感じていただけたのではないかと思います。
会の締めくくりに狂言小舞〈夷大黒〉を奥津健太郎が舞わせていただきました(地謡・奥津健一郎)。これからも芸能の横の繋がりを大切にしながら、様々な企画をして参りたいと思います。ぜひご期待ください。
<ご参考>
雅楽
〈春鶯囀(しゅんのうでん)〉
唐の太宗あるいは高宗のとき、立太子礼の祭典中に鶯が美しくさえずり祝福した。王は喜び、この曲を作らせたというめでたく雅やかな曲。日本でも立太子礼に奏された。皇麞・蘇合香・萬秋楽と合わせ四箇大曲(特に重要な曲)とされ、楽人は余程でなければ伝えられなかった。
〈越殿楽(えてんらく)〉
前漢の文帝作と伝わる曲で、大陸よりもたらされた。平安時代は公卿の退出の曲で、現在は結婚式などのハレの日に奏される。越天楽の旋律に「春の弥生の曙に〜」などの歌詞をつけて唄うのが『越天楽今様』で、その旋律で唄う『黒田節』はご存知の方も多いかもしれません。
能
〈難波(なにわ)〉
世阿弥作の能で、難波に都を置いた仁徳天皇の治世を讃え世を寿ぐ。帝の臣下が難波で老翁と男に出会う。老翁は難波の梅について語り、〈春鶯囀〉を奏でようと言う。老翁は百済から来た王仁と明かし、数々の舞楽を奏する。雅楽を知ることで能が描く世界も一層広がります。
〈梅枝(うめがえ)〉
摂津国住吉で旅僧が女に宿を借りる。女の夫は富士という楽人で、内裏での役を巡って殺されており、妻は形見の太鼓を打って夫を偲んでいた。実は妻は幽霊で僧に供養を願い、夫への想いを舞う。〈越殿楽〉の歌節が本曲に取り入れられており、その部分を含めて上演します。
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